遺書と恋文

頭痛腹痛毘沙門天

ねえ今、あなたに顔向けできることができたら

女王蜂/緊急事態 このひとりよがりのブログで文字に起こすことで、何かしらの落としどころ・決着をつけるしかないと思い筆を執る。これを書き終えるときには、自分の気持ちにケリをつけてあたらしく一歩を踏み出せますように。 学生時代、一方的に好意を寄せ…

生きるも地獄、死ぬも地獄 1/2

初めて自殺死体を見たのは中学生のとき。同じピアノ教室に通っていた20代の男性だった。 2007年から2010年ごろにかけ、「簡単に、楽に死ねる」「絶対確実」「きれいな姿で遺体が残る」と甘い言葉を謳った書き込みがネットにあふれ、硫化水素自殺が流行った。…

生きるも地獄、死ぬも地獄 2/2

いつも通りレッスンがあった日の2日後にお兄さんのアパートへ訪れた。するとドアに張り紙がある。 「有毒ガス発生中」 A4用紙に赤いボールペンで、今まで見てきたお兄さんの字にしては大きく書かれた文字列。なに?なんのこと?ガス? のちのち知ったが、こ…

短歌を始めた友人の話

「短歌をつくってみたくて…」 友人Nくんが短歌を始めた。それまで創作活動をしたことがなかった彼は短歌というかたちで言葉の当事者になった。 短歌を詠みたいと言われたときには小躍りした。だって、何冊も歌集を読んできた彼がついに「自分も」となったん…

滑走路

「生きているというより生き抜いている こころに雨の記憶を抱いて」 映画にもなった歌集「滑走路」。歌人、萩原慎一郎氏は32歳の若さで自ら命を絶った。中・高生の6年間いじめを受け、精神的な不調を抱えながら非正規での雇用。短歌に希望を見出したが、この…

コンビニに生まれかわってしまっても

西村曜氏の歌集「コンビニに生まれかわってしまっても」より。まず氏のプロフィールを読んで驚いた。1990年生まれという若さでこれらの作品群が詠めるのかと。いや、だからこそ瑞々しく生命力のある歌がつくれるのかもしれない。 向き合わねばならぬ痛みと知…

「短歌に興味がある。自分も詠んでみたい」 この数週間のあいだの話だ。偶然、一気に3人のフォロワーから相談された。 その相談を受け、とてもうれしかった。もっといろんな人に現代短歌の魅力を知ってほしいと常々思っていたので、布教のチャンスだと思った…

声、あるいは音のような

「フラッシュバックに苛まれながら母の自殺について詠みました」 歌集、「声、あるいは音のような」の鑑賞文をブログに載せたことをきっかけに、歌集の作者である歌人・岸原さや氏とTwitter上で個人的にやりとりをするようになった。そしてそのやりとりのな…

えーえんとくちから

リストからの一冊。この歌集の著者である笹井宏之氏は26歳という若さで亡くなった。しかし没後も生前と変わらず評価され続けている。歌集「えーえんとくちから」もいまだ褪せないで繊細な感性を31字に与えた。 愛します 眼鏡 くつひも ネクターの桃味 死んだ…

解離性同一性障害

嘘つきと言わないでほしい。自分は自分であって自分じゃない自分を自分が認めるしかないから。 解離性同一性障害。聞いたことがある人もちらほらといるかもしれない。僕はそれを罹患していて、ときにはほかの病気などより厄介なものになり得て頭を抱える。 …

窒息

「傷付くって分かってるのにどうして短歌をやめないの?」 そう聞かれたとき、答えられなかった。今まで考えもしなかったことだったから。なのでブログという形で向き合ってみようと思い今回筆を執った。結論から言えば自分なりの答えは出せずじまいだった。…

弱音の墓

すくなくとも僕にとって弱音を吐ける居場所は家じゃない。 どういう意図でのことかは分からないけれど、両親は僕ら兄弟に自分の部屋を与えない。それが家庭の方針だ。それはとっくに成人した今でも根深く残っている。まあ自室なり子供部屋なり、個別に部屋を…

すり減っていく日々といのち

去年の秋、友人の叔父であるEさんが亡くなった。自殺だった。 何がEさんを追い詰めたのだろう。友人は、Eさんがよく体調を崩して入院することがあったということだけしか知らないと言う。もしかしたら何かしら精神的な疾患を罹患していたかもしれないが、そ…

摂食障害

摂食障害を楽しんでいる、突き抜けて変わった女性と友人になった。 はじめに、僕は摂食障害をわずらったことがない。だが近いものだと高校生のときにウサギの餌のような昼食を食べたり、飴を舐めることまでも怖かったり。そんな時期があった。太りたくない気…

春のうつくしきかな

短歌との出会いは14歳。中学二年生の国語の授業でのことだった。 その子二十櫛に流るる黒髪のおごりの春のうつくしきかな 与謝野晶子の作品。こころがゆさぶられた。僕はこの歌に一目惚れした。蛇足だが、生意気にもそれまで知っていた俵万智のサラダ記念日…

断食を終えて

2週間断食をした。リンク先の、この記事より1つ前と3つ前の記事を参照してほしい。 mugmog.hatenablog.com mugmog.hatenablog.com それらに注意として書いてあるしここでも再三言うが、これはダイエットが目標なら絶対やってはいけない。筋肉が落ちるばかり…

断食10日めの経過報告

これはダイエットの目的ではないことをまず断っておく。本当に痩せたいのなら断食はタブーだ。普通〜痩せ型の人は真似しないほうがいい。危ない、 先日、断食チャレンジをした1週間の経過をブログに残した。 mugmog.hatenablog.com 昨日付でひとまず区切りの…

性別

セクシャルマイノリティと聞くようになってだいぶ経つ近ごろだが、LGBTの権利(ゲイとレズビアンの権利などとも呼ばれる)を主張する派手なデモ活動だの法改正をと声を大きくするだのでああだこうだとあまり騒がないでいてほしいと思っている。 僕はおそらく当…

断食1週間めの経過報告

食べるのが好きだ。 気になることがあり「断食チャレンジ」なんて頭の悪いことをしている。今日から9日め。血糖値のことを考えてオレンジジュースは飲んでいるので、完全にカロリーを削っているというわけじゃない。本当は水でやるのが正しいだろうけど。 ダ…

くちびるに添えたドレミと 2/2

衝動的だった。この電車はどこ行きだっけ?分からない。終点がどこなのか分からず飛び込んで乗った電車。初めてこっち側に来るなあ。何もないところだなあ。ずうっと畑が広がっている。乗客も少ないし、乗り降りする人も少ない。座席に座ってどこまでもどこ…

くちびるに添えたドレミと 1/2

大学4年生。僕らは学校や大学という「守ってくれる場所」を離れて社会に出る。ただ「守ってくれる場所」にいる間なら、大人たちはヒヨコを育てるように僕らを扱う。例外はあるが…(小・中学生のときの5年間のいじめを見て見ぬ振りする大人はいっぱいいたし、…

日々の僕たちが褪せないように

僕らは時間を共有する。褪せるようにかがやくように。 手紙を書くのが好きだ。あと、そのための便箋選びや収集も楽しい。いつだったかそういうことを言ったら手紙なんて書く機会ないじゃんと返された。いや、僕はそうは思わない。いつ書いても、何を書いても…

ほんとうのさいわいは

死について書くのは難しすぎる。永遠のテーマのひとつだから。どれだけ科学が発展しようとも「死」についてはいつまでも「死」のままだ。それでも書こうと思ったのは、宗教や哲学に明るくない今の僕が持っている「死」について書いておきたいからだ。 いつま…

背伸びするより高いビル

東京に引っ越して2ヶ月目くらいだろうか。眠剤諸々の薬を飲んだのに眠れない。真夜中。 死のうと思った。同居人の不規則な寝息が聞こえる。盗人のようにそっと部屋を出たら、たくさんのアパートが並ぶ。ああ、やっぱり死のうと思った。 ふと気になっていたビ…

タルト・タタンと炭酸水

「よい歌ができるときは、基となったメモをしたときに、少しこころが動いていたような気がしたのである」 フォロワーのYOSHIさん(@1927Nimomo )から贈られた竹内亮「タルト・タタンと炭酸水」 五七五七七の定型を崩さないで、日々の生活を写実的に詠んだ一冊…

木曜日

フォロワー(@deotikan)から贈られた盛田志保子「木曜日」を読んだ。彼女の歌集を手にしたのは初めてだ。 傷口を瘡でふさがれ体内を行き場のない詩が循環している やさしさもかなしさもどれもある種の痛み。痛みを感じて、そのとき生まれた詩が、言葉が、笑顔…

つむじ風、ここにあります

人は人を愛すことをやめられない。そんな歌集だった。 木下龍也著「つむじ風、ここにあります」 フォロワー(@GORO56_56_ p)がリストから贈って下さった歌集だ。いつまでも購入を後回しにしていたが、自分で買わなかったことを悔やむ。早く出会うべき作品群だ…

かなしき玩具譚

「真夜中の部屋で嫉妬と怒りと悲しみに胸がどろどろになっていても、あなたの目の前に立つときは砂糖細工でデコレーションされたケーキだと思われていたかった」 野口あや子の三作目「かなしき玩具譚」はTwitterのフォロワー(@bdooooo02)にアマゾンのリスト…

「もういいよ」を待っている

僕は文芸に生かされて、文芸に殺された。 5月。新卒として就職したばかりの僕はあたらしい環境で仕事を覚えるかたわら、量や頻度こそ減ったが、短歌を続けていた。短歌を詠む人間にとっての登竜門と言われる、とある雑誌の新人賞に応募するためだった。30首…

立ち上がる

両親から創作活動を否定され続けている。 始まりは高校生のころからだった。父親に詩歌で受賞したときの賞状や盾を見せれば「そんなことするもんじゃない」。最近だと母にちまちまとブログを書いていると話をすれば「変なことはやめなさい」。書道やピアノに…